...エキゾチックな秘教の領域から、実際の日常生活の中に、タントラを招き入れる...
ラージャとプジャ・リチャードソンへのインタビュー
Q:
私たちのまわりには様々なタントラがありますが、他と比べて、ご自身のタントラ・ワークをどう評価されますか?
プジャ: 確かにタントラについて耳にすることがますます増えています。これは社会において全般的に意識が上昇していることの裏付けでしょうから、とても良いことだと思います。私たちのアプローチがユニークなのは、性行為そのものを中心にとらえていることです。
Q:
タントラというのは、とことんセックスに関するものではないのでしょうか?
プジャ: そうとも言えるし、そうでないとも言えます。私たちが耳にするタントラのほぼ全ては、付随的なセックスに関するもので、セックスの核心である性器そのものには意識を向けていません。一方、私たちのアプローチでは、性器というのはひとつの完全体が半分に分かれたものとして認識するようになります。そして、どうすれば男性器と女性器の間にエクスタシーをもたらすことができるのかを発見します。このようにセックスの本質的な要素と取り組んでいます。私たちが提案するタントリック・セックスのヴィジョンとは、性器の間の微かな交流を探求することによって、エクスタシーと瞑想の状態に至るものです。この体験によって人生を変えることができます。セックスに対して直接的に注意を向けているので、リトリートへの参加はカップルの方々だけを対象としています。リトリート期間中は、実際に試してみるためのプライベートタイムがあります。また、共同で行うグループワークでは、性的行為や裸になることはありません。
Q:
『普通のセックス』との違いは何ですか?
ラージャ: タントラのアプローチはゆったりとしています。感覚や刺激よりも、リラックスし、敏感に感じることが大切です。一般的に、セックスというのはエネルギーと激しさを増してゆき、オーガズムあるいはピークに達するものですが、このようなセックスはマインドと体をとても緊張させ、早漏や欲求不満などの問題を引き起こします。しかし実は、性行為の間に深くリラックスすることができれば、自然と至福(エクスタシー)の状態に至るのです。ですから我々のアプローチが他と大きく異なる点は、あらゆる点でリラックスを勧めるということです。深いリラックスによって、「ここ」へ戻ってくることができます。「ここ」は、タントラの真髄です。「ここ」にいるときは、意識的で気づいる状態です。「ここ」には特別な性質があり、セックスを愛に変容します。著しい変容です。たいていの場合、この新しい方法でラブ・メイキングを始めて2,3日もすると、カップルは皆、愛にあふれて輝きはじめ、とても幸せそうに見えます。素晴らしいですよ。
Q:
タントラというのは、つまるところ何なのでしょうか? 何を目指しているのですか?
プジャ: まず素晴らしいのは、性器についてもっと理解を深め、自然がどのように性器を形作ったのかを理解するにつれて、自己の深奥と交流しはじめます。それによって自信と確信が身につき、愛情が深まって、不安が減ります。ほとんど誰もが、愛とセックスにまつわる激しい苦痛や失望、精神的な不安や混乱などを経験するものです。 セックスが原因でけんかをしたり、愛する人と別れたり、それをまた繰り返したりします。でも、新鮮なやる気と知識さえあれば、現状を覆して、自己の生を変容することができます。セックスを通して、愛と喜び、充実と一体感を生み出しましょう。これは強力な癒しの力です。だからこそ、この知識を他のカップルの方々と共有したいのです。実際に、性的好奇心と性的魅力を増していけば、愛に満ちた男女関係を築くことができるのです。
Q:
好奇心と魅力を増していくですか? でも通常は、減少するものではないでしょうか。
プジャ: そうですね。カップルがしばらく一緒にいると、お互いに鈍感になって、体を閉ざしてしまい、それが習慣になってしまうことがよくありますが、私たちが提案するアプローチを実践すると、性器はお互いにいっそう敏感になります。楽器を奏でるのに似ています。この素晴らしい調和によって、セックスは向上します。
Q:
このリトリートは、どのような方々に向いていますか?
ラージャ:ラブ・メイキングに興味があるカップルならば、誰にでも向いています。ラブ・メイキングができる人なら、誰にでも向いていると言えます。リトリートには、セックスをしなくなったカップルや、ごくまれにしかしないカップルの方々も参加されますが、このアプローチを実践することで、親密な関係への入り口が再度開かれます。私たちが見いだした大切なポイントは、ここで教えている内容が、年齢に関係なく、誰にでも適しているということです。16歳でも60歳でも、結婚35周年でも、一晩だけの付き合いしかなくても関係がありません。参加される方々の年齢や国籍はさまざまですが、これは誰にでも効果があります。興味深いと思うのは、年齢が若い方のほうが新しい方法を理解しやすいということです。
Q:
なぜそうなのでしょうか?
ラージャ: 若い時は、性的条件付けがそれほど強くはなく、頭は硬くなっておらず、体はずっと柔軟でリラックスしているからでしょう。
Q:
ということは、タントラや精神的修行を経験したことがなくても、リトリートに参加できるということですね?
ラージャ: その通りです。リトリートには、さまざまな職業や社会的立場の方が参加されます。過去にタントラの経験があれば何かの助けになるかもしれませんが、決して必要な要素ではありません。我々は皆、似かよった性的条件付けをされています。この条件付けがセックスにおいて遭遇するさまざまな問題の核心部分です。
Q:
条件付けとは、どういう意味でしょうか?
ラージャ: 我々はセックスにおいて単純に緊張しすぎているせいで、機械的に行ったり、あまりに多くのことをやろうとします。そして残念なことに、あまりにもさっさと終わらせてしまいます。これでは深くは満たされず、欲求はたまります。そして次の機会にもまた同じことを繰り返すので、不満は続きます。欲求不満が行き過ぎると、セックスに対する興味を失ったり、セックスが不快なものだと感じたりします。特に女性に多いですが、男性も同じです。これはなぜかと言えば、セックスに緊張と努力が関わっているからです。セックスが重荷であったと打ち明ける男性はたくさんいます。彼らはプレッシャーや期待を捨てることで、解放されたような気がするのです。セックスでリラックスしていられるようになれば、何時間でも続けることができます。終点がなくてもよいのです。そして深い満足感に満たされます。愛しているのと同時に愛されているのを体験します。隠されているセックスの可能性を発見するためには、セックスのパターンを覆す必要があります。セックスにおいてリラックスすることは技法です。一晩で達成できるものではありません。セックスにおける緊張は心理的なものですから、まずは時間をかけて緊張をほどき、性器に備わっている知性を信頼することです。
Q:
知性と性器というのは、通常かけ離れたものではないでしょうか? 性器が知的であるというのは可能でしょうか?
プジャ: 男性器と女性器の間には、両極性あるいは磁気作用が潜在しています。微かに引きつけ合う力です。この両極性は、体に自然と備わっているもので、セックスでエクスタシーを起こす基盤です。セックスをゆっくりと行い、敏感で意識的になって初めて、性器の知性は目覚め始めます。これがタントラの驚異的なところです。この目覚めは、どれだけ意識的であるかにかかっています。特別なテクニックではありません。
Q:
参加カップル全員で、タントラの儀式を行うことはありますか?
ラージャ: いいえ、我々はおおげさな儀式には興味がありません。それよりも、各カップルの変化の動きに合わせて取り組んでいます。ですからこのリトリートはグループ体験ではなく、個人的な体験です。儀式というのは、意識をゆっくりと「今この時」へいざないます。また肉体と精神を活性化し、オープンになるのを助けます。 これが儀式の背後にある考えですが、私たちは他の方法を用いて「ここ」へいざないます。しかし儀式が効果的であると思うのならば、ラブ・メイキングの前に行うのもよいでしょう。
Q:
経歴についてお伺いします。タントラに関するインスピレーションをどこから得たのでしょうか?
プジャ: 私たちは幸運にも、
バリー・ロング
と
Osho
のふたりから多大なインスピレーションを得ることができました。ふたりを通してセックスの探究に導かれ、私の人生は変わりました。まさか自分がタントラを教えることになるとは思いもよりませんでしたけれど。私は自分自身のために、セックスを奥深くまで知ろうとしていました。そして長い間、 毎日のように実践するうちに、徐々にそれまでとはまったく異なる体験をするようになりました。この体験によって、ふたりの教えをもっと深いレベルで理解することができるようになりました。バリー・ロングの革新的なアプローチと、Oshoが見事に解き明かしてくれた何千年も前から続くタントラの教え、このふたつを結びつけることができたのです。バリー・ロングは基本となる根、そしてOshoは飛躍のための翼だと言えます。セックスはそれ自体がインスピレーションですし、スピリチュアルな体験なのです。
ラージャ: 私がこのタントラ的アプローチと始めて出会ったとき、これは確かに正しいと感じました。それまでに性的困難を感じたことはありませんでしたし、セックスライフはなかなか良かったのですが、他の可能性があることには気づいていませんでした。しかしバリー・ロングのオーディオブック『メイキング・ラブ』を聞いたとき、彼の話していることの正しさを確信することができました。説明するのは難しいのですが。『メイキング・ラブ』の中で紹介されているセックスのアプローチというのは、体を信頼して、性器の意識に全てをゆだねるというものです。このアプローチを試してみると、不意にプログラム化されたセックスをしなくなったのです。機械的でも無意識的でもなくなりました。うまくやろうとしたり、失敗を恐れたりする必要がなくなって、心底リラックスすることができ、まるで我が家に戻ってきたように感じました。長年続けている太極拳の経験が役に立ったのかもしれません。太極拳は、瞑想をするようにゆったりと動きますので。でも正直に言って、セックスにおいてリラックスするようになって初めて、地に足が着いたように感じました。そして生まれて初めて、自己の内部世界へアクセスすることができたのです。それをプジャの中で見出すことができたのは、本当に幸運なことです。彼女の経験と確信は、この冒険を続けるための助けになりました。
Q:
いつ頃から、カップルにタントリック・セックスを教え始めたのですか?
プジャ: 最初は1993年です。プーナにあるOshoのアシュラムにて、タントラ・スクールのスタッフに教えました。同じ年、イタリアでも数回リトリートを行いました。そして1994年に開催したヨーロッパタントラ国際協会のためのリトリートでは、自分とは異なるタントラのアプローチを学んできた指導者の方々と一緒にワークをすることができました。それ以来、毎年いくつかの国を訪れて、リトリートを開催しています。
Q:
リトリートについてもう少し詳しく教えてください。
プジャ: 宿泊施設のある場所で、1週間かけて行います。各カップルはダブルルームに泊まります。シャワー付きの部屋をできるだけ手配していますが、共同使用の場合もあります。新婚旅行に少し似ていますね。スピリチュアルな新婚旅行とでもいえます。7日間かけて段階的にレクチャーの基礎となる「ラブ・キー」を学んでいただきます。私たちは、体に重点を置きますので、太極拳や瞑想、その他ボディー・ワークのテクニックを使って、エネルギーを呼び覚まします。毎日一歩づつ、セックスの新しい見方を深めてゆきます。「ラブ・キー」の実践は、このリトリートの中で、最も重要な部分です。
Q:
昨年、著書の『ラブ・キー』を出版されましたが、リトリートとの関連を教えてください。
プジャ: 『ラブ・キー』という本の中で、リトリートで教えている段階的なアプローチを説明しています。ですから本を読んで試してみることができます。それが本を書いた狙いでした。リトリートの利点は、情報を口から直接伝えることができるので、吸収しやすいと思います。また、いつかそのうちにではなく、即座に実践することになりますので、大きな効果があります。ラージャと私がその場にいることも支えとなるでしょう。疑問があれば質問できますし、私たちの経験が、参加者の理解を助けることもできるからです。
Q:
『ラブ・キー』が他の言語に翻訳される予定はありますか?
プジャ: はい。2001年に、ドイツ語、フランス語、イタリア語で出版される予定です。
Osho
タイムズ(ドイツ語版)に掲載されたインタビュー
カップルに的を絞って、共同でタントラを指導するサティア・プジャとラージャに話をお伺いします。プジャ(ダイアナ・リチャードソン)は、タントラに関する著書を表わしました。 Innenwelt 出版社から2001年4月に出版された
『愛のための時間』
は、教義にとらわれないタントラのアプローチを紹介しています。シンプルで気楽にできる段階的なアプローチによって、セクシュアリティを充実させ、パートナーとの愛情を深める方法を説明しています。この本は、英語版では
『ラブ・キー』
として1999年に出版されました。2000年11月には、イタリア語でも
『最大限にラブメイキングをする方法』
(ダイアナ・リチャードソン著)というタイトルで、Sonzogno出版社から出版されています。
Q:
このワークを始めた経緯を教えてください。
プジャ: 長年ボディー・ワークを教えていました。インドの
Osho
コミューンでも指導の経験があります。中でも特にマッサージを好んでいました。その頃、人の体に触れる機会を生かして、リラックスの力を理解するための実験を始めました。そして人の体に触れる時は、自分の内に中心(センター)を保ち続け、相手の方へ迷い出さないことに重点に置いていました。それによって気づいたのは、私と、私が触れている相手との接触は、リラックスし、センターを保ち続けることで、非常に深められるということです。ですから、現在タントラ・リトリートでカップルに教えている「ラブ・キー」の中には、マッサージを教えていたこの当時に見出したものもあります。私はボディセラピストとしての経験を通じて、リラックスするために重要なキーポイントを、体の中に次々と見出しました。これらのキーポイントは、ラブ・メイキングをしている「今ここ」でリラックスするための助けとなります。
Q:
カップルにタントラを教え始めたのはいつですか?
プジャ: 1993年です。初めは5日間のリトリートでした。参加者は全員、プネーにあるマルチバーシティのタントラ学部で学ぶ生徒の方々でした。リトリートは、あっという間に人気が出ました。実はカップルにタントラを教えるつもりは全くありませんでしたが、多くの友人から勧められて始めてみると、このテーマについて話すことは、私にとって容易なことでした。すでに長い間ボディー・ワークを教えていましたし、愛というのは、ふたつの体の間に生まれるのだということを踏まえれば、カップルにタントラを教えることは、自然なステップでした。
Q:
ご自身のタントラ指導と、他のスクールの指導方法との違いについて、ご意見をお聞かせください。
プジャ: まず、タントラというのはセックスを愛に変容させるものであり、変容というのは気づきによって起こるものであると、私たちは理解しています。その際、性エネルギーは瞑想的エネルギーに変化し、愛が育まれます。セックスと瞑想の関係に重点に置くタントラ指導者は、きわめて少数です。大部分のタントラは、エクスタシー体験に重点に置くタイプのもので、エクスタシーをもっと良く、またはもっと長く得ようとするものです。つまり何かを得るために、何かをする必要があります。それとは対照的に、私たちは「すること」を全て取り払い、完全に今の瞬間にあろうとします。今の瞬間の強烈さは、気づきを通して生まれます。すると、セックスはおのずと自然に起こるのです。ラブ・メイキングにおいて必要なのは、リラックスし、ペニスとヴァギナの間で交わされる新しいコミュニケーションの形を見つけることです。このコミュニケーションは、それに気づいているかどうかにかかわらず、現実に存在しています。ですから、私たちの取り組み方法が他と大きく異なる点は、することの全てをやめることです。全てをやめるということは、実はより本物になることです。そしてますます多くの人が、セックスにおいても本物でありたいと願うようになっています。
Q:
ラブ・メイキングにおける「キー」とは、実際のところ何なのでしょうか。先ほど、体の中にはリラックスできる部分があるとおっしゃいましたが、これについてもう少し聞かせてください。
プジャ: セックスでリラックスするために助けとなるキーは、たくさんあります。基本はもちろん、そこにいて、気づいていることです。呼吸は助けになりますが、それと同じように、ある体位も役に立ちます。例を挙げましょう。一般に、女性はラブ・メイキングの間、ヴァギナをきつく閉じてしまいがちですが、これはペニスを収縮させます。ですから可能なかぎりヴァギナをゆったりと広げることを学ぶ必要があります。これは一般的に信じられている考えに逆らいます。多くの女性は、自分のヴァギナがゆったりとリラックスしすぎていて、相手の男性は何も感じることができないのではないかという恐怖症にかかっています。この女性たちは、ペニスを「楽しませなければならない」と思い込んでいます。しかし私たちの基本的な考えでは、 女性がオープンでないと、男性のエネルギーもまた流れることができないのです。女性の運河が開くことによって、男性のエネルギーは流れ始めるのです。男性にとっての「キー」は、骨盤底と臀部をリラックスさせることです。臀部が緊張するやいなや、性器も反射的に緊張してしまうのです。もうひとつの重要なキーポイントは、体の中に存在する両極性です。Oshoは両極性について多くを語りました(講和を参照してください)。第1チャクラは男性の体においては陽性で、女性においては陰性です。ハートチャクラでは逆で、男性が陰性で、女性が陽性です。このチャクラを通じて、男性と女性の間にエネルギーの円環を生み出すことができます。乳房は、女性にとってのセクシュアリティへの入口です。ヴァギナが開くためには、乳房の中のエネルギーがまず流れ始めなければなりません。
ラージャ: 男性はしばしば、女性を興奮させるための方法として奇妙なアイディアを持っています。例えばクリトリスをこすれば良いと思っています。しかし、単に乳房に注意を向けることで、女性が反射的にオープンになるのだということを彼らが知っていたらどうでしょうか。男性は、乳房を通して女性を愛することが大切です。男性は常に、女性も男性と同じようなメカニズムをもっていると思い込んでいます。そして女性までもが、自分も男性と同じように機能しなければと思い込んでいます。しかし男女では逆になる極性の価値を理解して初めて、エネルギーの円環が生まれるのです。
プジャ: 女性の乳房は、しばしばエネルギーの流れがブロックされています。なぜなら女性には乳房に関するコンプレックスが多いためです。大きすぎたり、垂れていたり、小さすぎたり…。このようなエネルギーのブロックが解消されれば、女性の中の女性極(陰極)がクリアになり、エネルギーが流れるようになるのです。このように、セクシュアリティについて過去に学んだすべてを捨て去る必要があります。
Q:
要するに、もっと意識的になるために、瞑想の仕方と性的エネルギーの使い方を学ぶわけですね。
プジャ: ふたつを切り離すことはできません。瞑想とラブ・メイキングは同じ入口です。ラブ・メイキングの魅力は、性器のお陰で意識が現在に保たれるということです。しかしここで言う性器とは、摩擦によって快感を与え、自分自身を興奮させてゆき、最後にエネルギーを放出するという、古い考え方の性器について言っているのではありません。そうではなくて、私たちの認識においては、性器というのは生体電気が流れる極なのです。ペニスが陽極で、ヴァギナが陰極です。陽極と陰極が合わさるとエネルギーを生み出します。このエネルギーは瞑想的エネルギーでもあります。そしてエクスタシーの源です。 ラブ・メイキングの第一歩はまず、自分自身に立ち戻ること。そして、相手に意識を向けないことです。自分自身がオープンなればなるほど、このエネルギーはもっとよく流れます。
Q:
ラブメイキングを始める際に、自分自身とのつながりを深めるためのキーはありますか?
プジャ: 始めだけではなくて、常に自分自身とのつながりを保たなければなりません。
ラージャ: 自分がどのようなセックスをしているかをよく観察することです。我々は、何かを変えなければならないとは言いません。単にこうに言います。「自分がしていることに意識を注ぎ、どのようにラブ・メイキングをしているのかを見つめてみましょう」と。それによって発見することがたくさんあります。たとえばセックスを始めようとするとき、どのような思考パターンを持っているのかを見出します。我々は特別なテクニックを使いません。単に、行為に意識を注ぐだけです。意識を注ぐとラブ・メイキングの仕方が変わります。ある時ふと、自分がパターン化されたプログラムに従っていることが分かると、セックスが機械的なものに感じられます。そうすると当然、このパターンから抜け出したいと願うようになります。そして生命エネルギーというのは、自己の体中に流れるエネルギーの一部であり、唯一のエネルギーであると認識するようになると、このエネルギーの土台である性の部分がリラックスし始めます。するとたいての場合、よりリラックスして生きるようになります。性の部分以外にもエネルギーを表出する体の各部は、次々とリラックスしていくのです。目標や結果にさほど縛られなくなり、野心的な欲は減り、落ち着いていきます。ある参加者はリトリートの最後に私たちのところにやってきて、「人生で最も重要な経験だった。世界を見る目が変わった」と言ってくれました。
プジャ: リトリートには時々、とても若いカップルも参加します。19歳と20歳のカップルは、「本当に救われました!」「僕が必ずしもオーガズムを得る必要はなくて、彼女にもオーガズムを与えようとする必要がないってことは、本当にすごい」と言っていました。なぜなら彼らは、セックスで上手くやろうとするプレッシャーや期待というものが、いったいどれほど激しいものなのかと案じ始めていたのです。まず最初に、私たちはセックスから興奮を取り除きます。興奮を意識している限り、ラブ・メイキングの間に起こっている微かなものを見逃してしまうからです。
Q:
リトリートの参加者は、どのような方々で、何を期待してリトリートに参加するのでしょうか? 瞑想や精神的成長に対する興味からか、それとも単に男女関係を改善したいという願いからでしょうか?
プジャ: 参加者の年齢は様々で、19歳から69歳までの方がいらっしゃいます。この方たちは、自己をもっと満たすための深い経験を切望して参加されます。一方通行で行き詰まったように感じて参加される方もいます。この行き詰まりは、パートナーを変えたところで、やがては戻ってきてしまうものです。参加者の誰もが、特に女性は、「セックスというは、これしきのものではないはず」だと直観的に感じています。ですから多くの人にとって、セックスと瞑想を結びつけるという可能性を見出すことは、目覚ましい新発見となります。
Q:
Oshoは、タントラに関する著書の中で、エネルギーを内に保ち、これを解放しないことについて話されました。
この点は、ご自身のワークにどう影響していますか?
プジャ: 私たちが学んだことは、エネルギーは性器で保たれており、オーガズムに達すると放出されるということです。しかしこのエネルギーは、体内に維持すると自然に上昇します。私たちはただ、エネルギーを放出する習慣を断ち切って、セックスには絶頂感を得る以上の何かがあるということを発見しさえすればよいのです。男性にとっては射精を超えることを意味し、女性にとってはオーガズムを超えることを意味します。射精やオーガズム体験は、実はかなりのハード・ワークです。せっかくエネルギーを増しても、放出するだけですから。必要なのはセクシュアリティに関する新しい方向付けです。私たちの内部には、エネルギーの循環経路が本質的に備わっていますが、通常この循環経路は半分しか使われていません。このエネルギーが循環できる方法を学べば、エネルギーは上昇することができます。 また、次のように自問してみることも大切です。「オーガズムによって自分はいったい何を得ているのか?」「なぜ、それほど重要なのか?」 オーガズムに関連する項目をすべて書き出してみると良いでしょう。ハード・ワーク、緊張、うまくやろうとするプレッシャー、ふりをすること、競争などが挙げられるでしょうか。もし、セックスの終点としてオーガズムに達するならば、あなたは今の瞬間を楽しむことができません。その瞬間を逃しています。 理解すべきことは、何の努力をしなくても、ラブ・メイキングは起こるのだということです。体はラブ・メイキングをしたがります。マインドは必要ありません。もうひとつ、カップルにとって大切なポイントがあります。それは感情と上手に向き合う方法です。私たちはしばしば、感情がどのように愛を破壊し得るのかに気づいていません。なぜなら、自分の感情がどのように機能するのかを認識できていなからです。リトリートでは、感情に関する取り組みをたくさん行います。そして、まったく異なる観点から感情を見つめます。
ラージャ: リトリートでは同様に、体に関する取り組みも多くあります。最終的にラブ・メイキングをするのは体であって、マインドではないということです。世の中には、妄想や空想によって喚起されるようなマインドの中のセクシュアリティ、たとえばアダルトビデオや成人雑誌などが氾濫しています。大部分の人々は頭の中で生きているので、体への意識を発達させることがとても重要です。
プジャ: 私たちのワークは、意識の変化を中心にして展開してゆくもので、特別なテクニックを学ぶものではありません。また、ある方法が正しくて、他が間違っているという印象を持ってほしくはありません。私たちは、参加者の方々が意識と気づきを伴って、セクシュアリティの扉を開けるための応援をしたいだけなのです。これは、自分の過去や古いタイプのラブ・メイキングを打ち破り、それから新しい何かを学ぼうというものではありません。そうではなくて、気づきを伴うセックスによって、自己を体験しようとするものです。何か新しい方法を2,3週間試してみるものではありません。もしそうであったら、昔の癖がすぐに裏口から再び忍び込もうとするでしょう。
Q:
先ほど少し触れましたが、感情と感覚に合わせた取り組みについて、 もう少し教えてください。
ラージャ: 我々は、感情と感覚をはっきりと区別します。感覚は今の瞬間に起こります。つまり、現時点を経験し、感じています。それぞれの感覚によって、オープンになったり、傷つきやすくなったり、親密になったりします。そして最終的には、感覚によってパートナーに近づくことができます。それとは反対に、感情は過去に根ざしています。感情的になっているときは、相手に責任があると思えたり、何となく孤立感を感じます。そして相手を非難し始めるのです。感覚と感情の違いはすぐに分かります。たとえば、私がパートナーのプジャを非難していると気づいたら、それは自分が感情的になっているせいであって、自分の過去に根ざした感情のせいであるということが即座に分かります。プジャは感情のきっかけであって、原因でないのです。これが分かれば、感情を自己の内に引っ込めて、自分で発散する方法を見つけることができます。それからまた新鮮な気持ちで自分のパートナーと向き合えば良いのです。我々には、心理的な廃棄物を相手に押しつける傾向があります。それも、自分が最も愛している人に対して押しつけます。その相手のせいで自分の感情が害されていると思い込んでしまうのです。一般的には女性のほうが男性より感情的であると言われていますが、これは全くばかげたことです。自分の性欲を満たすことだけを考えている男性は、ラブメイキングの最中に、緊張のすべてを女性に預けます。その後には緊張が詰まった大きな容器が、女性の中に残されます。この緊張は、感情となって表に出ます。月経前症候群や更年期に起こる多くの問題は、緊張を伴うラブメイキングに原因があると我々は考えています。
Q:
自分が感情的になっている時、それを見分けるための具体的な症状は何でしょうか?
プジャ: 相手を非難し始めたり、孤独でつながっていないと感じたら、感情的になっているはずです。また、相手の目を見れない時や、何度も同じ言い回しを繰り返しているような時も感情的です。たとえば、「あなたは、いつもXXするのよ」とか、「君は決してXXしないじゃないか」などの言い回しを何度も繰り返しているのなら、自分が感情的になっていて、人生が過去に支配されていることが分かります
Q:
感情に対処する方法として、カップルに何を提案されますか?
プジャ: 第1に、古い感情のルーツや原因を理解することは重要ではありません。第2に、自分が感情的であることをパートナーに伝えることが肝心です。また、実際に体を動かすと良いでしょう。ジョギングをしたり、叫んだり、枕を叩いたり、あるいはダイナミックに体を動かして、感情をふるい落とすのです。最も重要なのは、パートナーに自分の感情を押しつけないことです。
Q:
男性よりも、女性のほうがタントラに近づきやすいのでしょうか?
プジャ: 確かに女性のほうが、男性よりもずっと早いうちに、私たちが教える内容を真実として受け止めます。緊張を伴い、することが多すぎる旧式のラブ・メイキングは、女性的エネルギーを無視しています。ですから男性よりも女性のほうが、表面的な目的を達成しようとするセクシュアリティに苦しめられています。
ラージャ: 男性にとって、この古い条件付けを手放すことは、もちろん難しいことです。例えば、恋人として最低だと言われれば、男性のエゴにとってこれ以上の痛手はありません。これは男性にとってセックスがどれほど重要であるのかを物語っています。セックスにおいて、何かを「する」のではなく、ただ単に「在る」ためにはどうすればよいのか、また、セックスがただ起こるにまかせ、セックスの流れに乗るにはどうすればよいのかを、知らずにいることが多いのです。
プジャ: セックスにおいて、「気づいている」そして「何もしない」という新しいアプローチによって、男性もやっとリラックスできるようになります。上手くやろうとする必要がもうないのです。そして1週間ほどたつと、ペニスの感受性に変化を感じるようになります。したがって、タントラが女性には良くても男性にはつまらないものであるというのは、偏見でしかありません。女性が性的にオープンになって初めて、男性はエネルギーの流れを経験することができるのです。性的な分野においては、女性が鍵となる役割を演じます。女性がその場のムードを決定します。女性は自分で思っているよりずっと、セックスにおいて大きな力を持っています。
Q:
参加者の多くは、直接的には瞑想に興味がないとおっしゃいましたが、お二人のワークは、意識に関する取り組み以外の何物でもないと言えます。参加者たちはこの経験を、日常生活の中に上手に取り組むことができるのでしょうか?
ラージャ: ほとんどの人にとって、ラブ・メイキングより先にやるべきことはたくさんあります。毎日、数えきれない数々の事柄を終わらせなければならず、一日の終わりの眠りにつく直前や、目が覚めてからの15分程度しか、ラブ・メイキングをする時間がないのです。 「自然に起こる」にまかせているのだと言うかもしれませんが、もはやこれは、「偶然にしか起こらない」と言えます。まずは、セックスを最優先課題にしなければならなりません。そして多忙であれば、ラブ・メイキングの日取りを決めて、カレンダーに書き込むようにアドバイスしています。例えば木曜日の午後5時に、2時間のラブ・メイキングを約束しておくのです。こうしておけば大抵うまくいきます。リトリートに参加した人なら良く分かっていますが、映画に行ったり、友人とおしゃべりをしたり、新聞を読む代わりに、その時間をラブ・メイキングのために使うのです。そうすると、確かに人生が変わります。
プジャ: 生活の中では、決して重要とは言えないような、そして何も得るところがないような事もたくさんします。しかし重要でない事は手放してしまい、瞑想と愛に重点に置くのです。参加者の方々とはリトリートの後も、手紙や電話、電子メールなどで連絡を取り合います。そして、私たちの最初の質問はいつも同じです。「どれくらい頻繁にラブ・メイキングをしていますか?」そして通常、ラブ・メイキングをたくさんするカップルは、月に一度しかしないカップルと比べて、良い男女関係を維持しています。ラブ・メイキングをすればするほど、愛に満ちた人になります。また、カップルに子どもがいる場合、子供との向き合い方にも興味深いものがあります。親というのは、自分の子供のために何かをする必要があると思っています。子供らを楽しませなければならないので、ラブ・メイキングをする時間がないのです。しかし子供たちは、夫婦関係にとても敏感です。リトリートに参加したある夫婦の子供は、夫婦の間柄が緊張したり、けんかをしているのを発見すると、ラブ・メイキングをするようにと二人をベッドルームに送り込むようになったということです!
Q:
プジャ、あなたは著書『ラブ・キー』(ドイツ語版タイトルは、『愛のための時間』)の中でタントラを解説していますが、この本の狙いは何でしょうか?
プジャ: ラブ・メイキングにおける気づきを変化させるために、私はこの本を書きました。読者の方々からはすでに感想が届いています。何もしないで性生活が完全に変わったという報告です。この本は、リトリートの後押しをするだけではありません。それよりも、リトリートに訪れることができない人たち向けたものです。
ラージャ: 我々のタントラ・ワークが、他の取り組み方法と比べて実質的に異なる点は、アプローチが非常にシンプルで、特別な儀式やテクニックを必要としない点です。我々はボディー・ワークを行い、セックスの新しい方向性を学び、ラブ・メイキングを練習します。参加者にはいつもこう言います。「我々は花を与えることはできない。あるのは種子だけです」と。真の実践はリトリートの後に始まります。この知識を持ち帰り、自分の人生の中に取り組まなければなりません。この種子が成長するように、日光と栄養、そして愛を与えるのです。